実績を積み上げたら、そのノウハウに再現性があるのかを検証し、知識や経験を関連付けてまとめて(体系化し)、わかりやすく伝える必要性があります。

積み上げた経験をベースに、理論や方法、法則などを系統立てて、第三者が読んで再現できるような形にしておきましょう。私の場合は、一つの成功事例を見つけ出したら、その法則を何回か別の環境でテストして、効果が再現できるかどうかチェックしています。

私が過去に投稿した「Google AdSenseだけで家族を養ってきた私が、今までやってきたブログ運営術をガチで解説するよ」という記事があります。これはブログの収益化を体系化した記事になっています。

Google AdSenseだけで家族を養ってきた僕が、今までやってきたブログ運営術をガチで解説するよ | WP-D

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この連載も出版に関する知識や経験を体系化して提供しています。たった一回の成功事例はマグレかもしれません。何度も検証して再現できるノウハウから、共通の因子である成功法則を導き出し、伝えることが著者の責務です。

翻訳者の役割

専門的な情報を伝えることは非常に重要ですが、表現によって伝わる量は大きく変わります。読んでもらいたい層に理解してもらうためには使用する言葉にも気を付ける必要があります。

添付の図を見ていただけると一目瞭然なのですが、あなたの情報をプロ層に届けたいのか、初心者層に届けたいのかによって使用する用語が変わってきます。

文章の意図が伝わる量は、読み手のレベル(層)によって変わります。

プロ層に響く情報を届けたい場合は、専門性の高い内容、業界用語、上級者しか使用しないような専門用語を最大限活用して文章を構成する必要があります。上級者層にとって、最低限の基礎知識は特に必要ない情報であり、場合によっては邪魔と捉えられてしまいます。

わざわざ基本的な情報を載せる必要はなく、ひたすら高度な情報を載せていきましょう。一部の読者層(スペシャリスト層)にしか伝わらない可能性が高いですが、その一部の層から支持されることであなたの信頼度を向上させることができます。「あなたの文章を読むことで、読者本人が自分でできるようになる」という内容が好まれる傾向もあります。

逆に初心者層に情報を届けたい場合は、とにかく難しい単語や専門用語を使うことは避け、日常生活で使っている用語を中心に文章を構築しましょう。類語辞典のサービスを活用して、難しい言葉を別の容易な表現に変更することも効果的です。

理解できない単語が1つなのであれば、ある程度文脈から意味を想像して読み進められる人は多いですが、理解できない単語が2つ3つと続くと、初心者であればあるほど文章を読み続けるのが苦痛になります。

どうしても文脈的に業界用語を含まなければいけない場合は、Wikipediaなどを活用してその用語の意味を解説しておきましょう。

ここで一つ例を入れます。

東京都の小池都知事が「アウフヘーベン」という言葉を使っていたのは記憶に新しいと思います。このアウフヘーベンという言葉、ドイツの哲学者であるヘーゲルが提唱しているヘーゲル弁証法の中で使われている言葉です。ちなみにヘーゲルの本名はゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルです。

ヘーゲルの本名はどうでもいいんですが、ヘーゲル弁証法を解説すると、事象や命題について「肯定(テーゼ)」し、その事象を「否定(アンチテーゼ)」する。否定しつつも互いに生かし「統合(ジンテーゼ)」させることにより、両者をより高い次元のレベルへと発展させるプロセスを「アウフヘーベン」と言います。

わかります?

私は初めて読んだ時、さっぱりわかりませんでした。なので、もうちょっと日本語的に簡単に言い換えます。

それは「踏まえて乗り越える」とか「含んでさらに良くする」とかそんな感じです。これだとなんとなく身近になりませんか?

ちなみにアウフヘーベンを漢字二文字にすると「止揚(しよう)」という言葉になります。おそらく一生のうち一度も使うことのない単語でしょう。でも哲学者同士であれば、これまで私がやってきた様々な解説なんて必要なくて「止揚」の二文字で終わるわけです。

初心者向けの文章の難易度の目安としては、小学生高学年の子が読んでも理解できるような単語やフレーズ、文体にするように注意しましょう。小学校5~6年生になれば日常生活で使う言葉であればほぼ理解できます。ただ、専門的な用語は首を傾げることが多いことでしょう。初心者層の理解度も同じぐらいだと認識しながら文章を書くことで、読者に優しいコンテンツができあがります。

これが、読み手の層に合わせた翻訳ということです。専門家であれば「アウフヘーベン」や「止揚」で充分なんです。でも知識の少ない人に向けての説明であれば、何十行も言葉を用いて、手を変え品を変え、一般的な言葉に直してあげる必要があります。

自分の専門性が高くなればなるほど、初心者層にとって普段使用しない用語を無意識に使ってしまう傾向がありますので、注意してコンテンツを作成しましょう。

読者が実感できる(経験したことのある)具体的事例を盛り込むことで、より理解度を高めることができます。「あなたの文章を読み、行動に移すことで、読者本人の問題を解決させることができる」という内容が好まれる傾向もあります。

投稿者プロフィール

染谷昌利
染谷昌利
ブログメディアの運営とともに、コミュニティ(オンラインサロン)運営、書籍の執筆・プロデュース、YouTube活用サポート、企業や地方自治体のIT(集客・PR)アドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組むパラレルワーカー。

現在は複業(副業・兼業)の重要性を伝えるため、新聞や雑誌、ウェブメディアの連載や取材の傍ら、テレビやラジオなどのマスメディアへの働きかけをおこなっている。

著書・監修書に『副業力』(日本実業出版社)、『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』(インプレス)、『ブログの教科書』(ソーテック社)、『成功するネットショップ集客と運営の教科書』(SBクリエイティブ)、『クリエイターのための権利の本』(ボーンデジタル)、『複業のトリセツ』(DMM PUBLISHING)など45作(2022年5月現在)。