出版を目指すためには、出版社が魅力を感じる企画書を作る必要があります。大きく分けてポイントは3つです。

  1. 世の中の役に立ちそうか
  2. 誰が書いているのか
  3. 売れそうか

まず、読んでくれたに人に役立つ、もっと大げさに言えば世界にインパクトを与えられる未来を出版社に見せる必要があります。あなたの持っている知識、経験、ノウハウ、熱量をすべて企画書に落とし込みましょう。

次のポイントが著者のプロフィールです。誰が書いているのかというのは非常に重要です。以前の連載で専門家になることの大切さについて述べましたが、「この人が言っているのであれば間違いないだろう」という信頼感が必要です。根拠のない自信でもいいんですけど、であれば比類ないオーラを醸し出せるようになってください。

最後に売れそうかどうかです。出版したいと思っている人は多いのですが、この3つ目の視点が抜けている場合が多いです。出版社は営利企業ですから、売れない本にコストを投下する意味はないのです。

自分が書きたいテーマのマーケット規模をしっかりと明示しましょう。自分の協力者がどれだけいるのか、ブログ本であれば想定読者層(たとえばライブドアブログが◯◯万人、アメブロが△△万人とか)がどれだけいて、自分自身でこれだけ拡散できるということを書くだけで売り上げの目安が立ちます。結果として企画が通る可能性が高まります。

  • こだわりや独自性・・・編集会議向け
  • 売れている類書や販売見込み・・・営業会議向け
  • 編集者は良い本を作りたい、営業部は売れる本を作りたい

3つの要素のバランスを高い位置で成立させることで、出版の道は開けていきます。

企画書に入れる項目

出版企画書に入れる項目はある程度決まっています。

だいたい、以下の項目をA4用紙2~3枚で簡潔にまとめて提出するのがお薦めです。自分の想いを長々と書いても、編集者は暇ではないので読まれない場合があります。必要な内容を適切に、漏れなく記載しましょう。

  1. 仮タイトル
  2. サブタイトル(キャッチコピー)
  3. 本書の内容・目次案
  4. ジャンル(ビジネス書、技術書、実用書など)
  5. 著者名・プロフィール
  6. 企画意図(背景)
  7. 想定読者層
  8. 類書
  9. 類書との差別化
  10. 販売施策

タイトル、サブタイトル、内容、ジャンルに説明はいらないと思います。なお、企画書時点では仮タイトルとして入れておけばOKです。

出版が決まった場合、書籍のタイトルやサブタイトルは最終的に出版社が決定しますので、キャッチーなタイトルであればそのまま使われる場合もありますし、大きく変更される場合もあります。

プロフィールについては、どのような実績があるのかが分かる内容を記載します。企画意図は、なぜ「今」この本を出す必要があるのかという点を明確に載せておきましょう。

7、8、9についてはそのままの意味で、どのような人は読者になりうるのか、類書(ライバル書)で特に売れている書籍はどのようなものか、類書と比較して自分の本はどう違うのかを記載します。

最後に販売施策です。この項目は必須ではないのですが、私は入れています。出版社の人間が自分の書きたい書籍の業界に詳しいとは限りません。こちらで資料を用意しておくことで、編集会議内で後押しになります。

出版社によって得意分野がある

出版社にはそれぞれ得意分野があります。もちろん編集者にも好みや得意分野があります。

理工書・技術書がメインの出版社、技術書の中でも初心者向けの書籍が得意な出版社、玄人向けの書籍が得意な出版社、ビジネス書が得意な出版社、硬めの本が好き、ライトな本が好き、著名人を口説き落とすことが得意な編集者、作家デビュー作をじっくり作り込む編集者などなど・・・。

企画を持ち込む際、どの出版社に提出すれば企画が通りやすいのかを意識しておくことは大切です。規模が大きい、知名度がある出版社とあなたの企画がマッチするとは限りません。A出版ではまったく相手にされなかった企画でも、Bパブリッシングでは重宝されるということはよくあります。就職活動と一緒です。

自信のある企画書が出来上がったのであれば、相性の良い出版社を選んで提出しましょう。1社でそっけない対応をされても心折れずに、複数の出版社に視野を広げましょう。

なお、出版社のカラーを知りたい場合は、書店で出版物をいろいろと比較すると良いでしょう。インプレスの書籍と日本実業出版社の書籍の傾向はまったく違います。ダイヤモンド社が出している技術書を見たことありますか?自分でもリサーチは可能ですので、いろいろと調べてみましょう。

企画が通らないと嘆くならば先に10万字書いてみる

出版するにあたって、現物があるというのは非常に強いです。企画をいくら練っても、出版会議を通過しないというのであれば、本一冊分の原稿を書いてしまうというのも一つの手です。

詳細は別途解説しますが、出版企画が通っても、最後まで書ききれない著者は意外と多いです。本一冊書き上げるというのは膨大なエネルギーを使います。普段、文章を書いていない人が、いきなり10万字もの文量は書けないんですよ。だから代理で執筆する、ブックライターという職業も成立するのですが。

私の周りには情報発信者が多いのですが、彼ら彼女らの強みは文章が書けるということです。そして、情報発信の期間が長ければ長いほど、文章のストックがあるということです。

その財産を再編集することで、一冊分の文量になることは充分に考えられます。「企画があります」に、「実はもう原稿できちゃってるんですけど」の一言を加えたら、普通の編集者はびっくりするはずです。よほど的はずれでなければ1回は目を通してくれることでしょう。

もう一つ情報発信者のメリットがあります。それは原稿を公開する場所があるということです。自分のブログでも構いませんし、現在は電子書籍やnoteなど、自分のコンテンツを販売するプラットフォームも増えています。

note ――つくる、つながる、とどける。

クリエイターが文章やマンガ、写真、音声を投稿することができ、ユーザーはそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォームです。だれもが創作を楽しんで続…

万が一、10万字の文章が出版社から蹴られたとしても、お蔵入りになるというリスクも少ないんです。

さらにnoteやはてなブログでは出版社と提携して、人気のコンテンツを書籍化するサービスもおこなっています。あなたの持っているコンテンツがウェブ上で沢山の人に読まれれば、そこから著者デビューも可能な時代になったのです。

noteからの書籍化|note公式|note

noteにつづった記事がきっかけとなり、書籍化された作品をまとめています。

はてなブログを書き続けて書籍化した3名と担当編集に聞く、ブロガーから出版へのステップ - 週刊はてなブログ

はてなブログは、株式会社KADOKAWAさんとブログの書き手支援を目的としたパートナーシップを締結し、書籍化を中心としたプロジェクトに共同で取り組んでいます。今回、本…

いかがでしょう?うじうじ悩んでいるぐらいだったら、書いてみたくなりませんか?

投稿者プロフィール

染谷昌利
染谷昌利
ブログメディアの運営とともに、コミュニティ(オンラインサロン)運営、書籍の執筆・プロデュース、YouTube活用サポート、企業や地方自治体のIT(集客・PR)アドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組むパラレルワーカー。

現在は複業(副業・兼業)の重要性を伝えるため、新聞や雑誌、ウェブメディアの連載や取材の傍ら、テレビやラジオなどのマスメディアへの働きかけをおこなっている。

著書・監修書に『副業力』(日本実業出版社)、『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』(インプレス)、『ブログの教科書』(ソーテック社)、『成功するネットショップ集客と運営の教科書』(SBクリエイティブ)、『クリエイターのための権利の本』(ボーンデジタル)、『複業のトリセツ』(DMM PUBLISHING)など45作(2022年5月現在)。