印税の話はみなさん気になると思いますので、しっかり説明しておきます。

私が得意とする書籍のジャンルは主にIT、技術書カテゴリになるので、小説や実用書などと比較すると、特に初版の部数が大きく変わってくると思います。その辺り、あらかじめ頭の隅に入れておいて頂けると幸いです。

私が手掛けている書籍の初版は4000部の場合が多いです。価格は本によって変わるのですが仮に1500円、印税率を8%として、全部売り切って約50万円です。

これ高いと思うか安いと思うかは原稿を書いている期間にもよると思いますが、単著1作目のブログ飯は企画段階から1年かかってます。3作目のネットショップの教科書は企画段階からいうと1年半かかってます。

1年かかった仕事で報酬が50万円だと厳しいですよね。ただ、実働的には2ヶ月かかっていませんが、20,000部以上売れている書籍もあります。そうなると2ヶ月で100万円、200万円という収益になるので、報酬的には悪くないと思います。

よく電車の中で、50万部突破と載っている広告を見ると思いますが、あのレベルになると印税額が6000万になります(同じ計算式で試算しています)。ミリオンセラーになると億を超えてくるのが想像できます。広告に掲載されている部数が本当であればの話ですが。

そう考えると漫画のベストセラーってすごい金額になるんだろうなぁと思います。もちろんビジネス書とは労力も制作過程も印税率も異なるはずですが。

とはいえ、何十万部のベストセラーになる書籍はごく一部ですので、ここのポジションを狙っていくのは大変なんですけど、30,000部ぐらいであれば真っ当な努力をすれば不可能な数値ではありません。

なお電子書籍、特にKindleはAmazonが割引セールをやったりすると一気に部数が伸びます。ただセールですから、当然、販売価格が落ちるので印税総額的にはそこまで大きくなっていない実感があります。

 

ちなみに印税の支払いパターンも大きく分けて2つあって、刷った冊数をそのまま支払ってくれるパターン(例えば3月に刷ったら4月末にその分を振り込み)があります。これは初版も増刷も同じで、刷ったらその分、支払ってくれるというわかりやすい形です。

もう一つのパターンが、初版分はそのまま支払ってくれますが(初版部数の8割という形もあり)、それ以降は3ヶ月、半年で区切って実売部数を支払ってくれるパターンです。なお、電子書籍は実売数での算出になるので、ほぼこちらのパターンで支払われます。

支払いについては出版契約書に明記されていますので、しっかりチェックしておきましょう。

 

余談ですが、ブックライター(昔で言うゴーストライター)にお願いする場合、報酬額はそのライターのキャリアや文章量(かかった時間)に応じて変わってきます。ですから書き終わった際に固定額を求める人もいれば、印税按分で成果報酬型を好む人もいます。

例えば企業の社長など、自分で文章を書く時間がない、あるいは文章を書くスキルがない人であれば、インタビュー形式でブックライターに自分の考えを伝え、その内容を書籍のフォーマットに沿って原稿化してもらうことが一般的です。

印税が欲しいというよりも、自分の考えを世界に伝えたいという人の場合は、ブックライターに支払う金額も高めに設定されている場合が多いです。

とはいえ、すべての人がお金に余裕があるとは限りません。これはあくまでも私見ですが、ブックライターに支払う金額の目安は初版印税分ぐらいを目安にすると良いかと思います。ざっくり40~50万円目安ですね。

これぐらいの金額であれば、書籍が無事出版されれば出版社から印税として入ってくるので、赤字になることは少ないと思います。がんばって増刷になれば、以降の印税が自分のポケットに入ってくるようになります。

あるいは印税按分というスタイルを取る人もいます。出版社から支払われる印税が8%だとしたら、ライター4%/著者4%だったり、ライター6%/著者2%だったりと、いろいろな比率があると思います。

こちらの場合、ライターの最初の手取りは固定報酬より小さくなりがちですが、数回増刷がかかると固定報酬よりも印税の方が大きくなる可能性があります。なにより著者とライターが一緒になって書籍を売っていこうというチームが組めるのが魅力です。

どちらが良い悪いというのはありませんので、好みの形を選んでいただければと思います。

投稿者プロフィール

染谷昌利
染谷昌利
ブログメディアの運営とともに、コミュニティ(オンラインサロン)運営、書籍の執筆・プロデュース、YouTube活用サポート、企業や地方自治体のIT(集客・PR)アドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組むパラレルワーカー。

現在は複業(副業・兼業)の重要性を伝えるため、新聞や雑誌、ウェブメディアの連載や取材の傍ら、テレビやラジオなどのマスメディアへの働きかけをおこなっている。

著書・監修書に『副業力』(日本実業出版社)、『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』(インプレス)、『ブログの教科書』(ソーテック社)、『成功するネットショップ集客と運営の教科書』(SBクリエイティブ)、『クリエイターのための権利の本』(ボーンデジタル)、『複業のトリセツ』(DMM PUBLISHING)など45作(2022年5月現在)。