「著者が書店営業するのを嫌がる出版社がある!」
と聞いたことがあって、「そんなことあるんだ?」って疑問に思っていたんですが、とある噂で著者と書店がトラブった情報を聞いて、「あぁなるほど、そんな状況であれば仕方ないな」と納得しました。
正直言って予想の斜め上をいってました。そんなことあるんだ。
細かいシチュエーションはいろいろあるんですが、トラブルの大きな要因は以下の3つのようです。
- 勝手に目立つ位置に自分の書籍を移動させる
- とにかくしつこく話しかけ、書店員の業務の支障になる
- 自分の書籍が並べられてないのにキレて書店員に詰め寄る
もちろん一部の著者ですが、こんなことをされるぐらいなら営業部が「行かないで欲しい」と思うのも無理はありません。出版社の営業担当者が書店員と築き上げてきた信頼関係をぶち壊すわけですから。
書店回りマニュアル
というわけで、出版社と書店との信頼関係をぶち壊さないような、私の書店回りマニュアルを公開します。
準備しておくもの
- 名刺(書籍の表紙を載せておくと好ましい)
- ポップ(L版ぐらいの大きさのを印刷して持っておく)
書店回りの流れ
- 基本的に書店員は忙しいことを頭に入れておく
- オススメは平日14時~17時。正社員は午後出社の場合が多い。
- 土日午後は書店員も忙しいので、できれば避ける(スケジュール的に厳しければ様子をうかがいながら声をかける)
- 書店に着いたら自分の本がどの棚(階)にあるか、検索PC等で確認する
平積み、面陳列になっている場合
1. 近くにいる書店員、あるいはレジに行って名刺を出す。
2. 「実はこの本の著者なのですが、◯◯棚ご担当の方はいらっしゃいますか?」
2-1.担当がいた場合、ご挨拶してポップを持参してきた旨伝えて、「もしスペースに余裕があれば・・・」的な低姿勢でお願いする。書籍が並んでいる場所を写真撮っていいか確認。この一言ですぐに飾ってくれる場合が多い(撮影自体はお客様が映らなければOKと言われる事が多い)。
2-2. ジュンク堂の場合、一般的なポップより大きいので、よかったら貰えないか聞いてみる。絵心のある人の場合、その場で書くとインパクトあるのでペンを持って行くと良い。特に絵心のある人はその場で書くとインパクトあるはず。
2-3. 店員さんがいない場合、名刺とポップを置いて、担当者にお伝え下さいと帰る。可能であれば出勤日を聞いておき、再訪する旨伝える。
3. できれば「記念に一冊自分でも買っていいですか?」とやっておくと印象に残る(次回作を予定しているのであればやっておいた方がいい)。ただコストがかかるので、全店でやる必要はない。店員との相性の良さを感じた時ぐらい。
4. 書店の近くに行ったら時折訪問する。顔を見せる回数が多いと平積みを続けてくれる可能性が高まる。
一冊だけ刺さっている場合
平積みパターンの1と2だけやってご挨拶で帰っても良い。ダメ元でポップについて聞いてみてもいいが、ダメでも心は折れないこと。
書店回りでやってはいけない5つのこと
- 長居
- ゴネる
- 書籍を勝手に動かす
- 勝手に写真を撮る
- 他のお客さんを写す
書店員が嫌がる行為なので避けましょう。
心折れないための注意点
平積みや面陳列されていたり、ポップを飾ってもらえたりしたら儲けものぐらいの気持ちで。並んでいないのは当然と考えないと、数店舗で心が折れます。
Amazonキャンペーンの光と闇
以前の連載で「私はAmazonキャンペーンをやらない」と書きましたが、その理由を述べていきます。あくまでもこれは私の好き嫌いの問題なので、Amazonキャンペーンをやりたい人は自分に合った形でおこなうと良いかと思います。
Amazonキャンペーンでよく見られる形態は、ある一定の日時を決めて、そのタイミングで一斉に買って(予約して)もらってランキングを急上昇させるスタイルがあります。
予約ナンバーをメールすると特典PDFとかがもらえるあれですね。実店舗のキャンペーンでは、発売日に紀伊國屋書店で買ってください。10冊買って、みんなにプレゼントしましょうとか言ってるあれですね。
いや、別にキャンペーンはやりたい人はやればいいと思うし、一気に売上を伸ばしてベストセラーにして話題を作るには非常に有効な施策だと思うんです。ただ、私の好みじゃないだけです。
なにが私の美学に合わないかというと、Amazonキャンペーンってカンフル剤なんです。いわゆる作為的なバズです。一気にランキングは上昇するかもしれませんが、キャンペーンが終わったら急降下してしまう可能性もあるわけです。もちろん、キャンペーンをやっている全部の書籍がそうだとは言いませんが。
以前に私の監修した書籍(以降、書籍A)が発売された同じタイミングで、同ジャンルのウェブサイト運営本でAmazonキャンペーンを実施していた書籍が有りました(以降、書籍Z)。書籍ZはAmazon予約の特典としてシークレットセミナーの参加権や、ノウハウの提供、書籍とは関係ない高額商品のプレゼントなどを購入者特典として提供していました。
確かに書籍ZはAmazonキャンペーン中は書籍の総合ランキングのトップ10に入っています。同タイミングで書籍Aは総合200位台でした。Amazonキャンペーン終了2日後は書籍Zは総合20位内、書籍Aは総合300位台です。
1週間後は書籍Zが総合300位台、書籍Aが総合500位台です。十日後、書籍Zは1039位、書籍Aは1035位で逆転しました。二週間後、書籍Zは1800位台、書籍Aは500位台です。
もちろん計測のタイミングがあるので厳密なデータとは言いかねますし、私の本がすごいと言いたいわけではありません。Amazonのトップ10に入るということは1日数百冊レベルで売れているはずなので、実売数は書籍Zの方が現状は多いかもしれません。
でも、書籍は長い期間かけて売っていくものです。定番書のポジションを掴んでおけば、何年も売れていくのです。
中身が充実していて、読み手の役に立つ書籍を世に送り出した自信があるのであれば、もっと地に足を付けたロングセラーを狙う戦略を採っても良いのではないでしょうか?
キャンペーンでズキュゥゥゥンとランキングが上昇するとテンションも上がりますし、いままで苦労して書いてきたご褒美に感じるかもしれません。でも発売後も地味な筋トレのような施策を淡々とおこなうことで、自分自身の力でロングセラーへの道を切り開いていくことだって可能なのです。
無料公開の是非
何度か私の著書である「ブログ飯」の無料公開キャンペーンをおこなっていますが、その結果について報告します。
結論から言うと、無料公開をしたら紙版もKindle版も売れました。
無料公開前、14000位台(紙の方)だったのですが、最高で2900位台までアップしています。Kindleも同様にアップしました。
ブログ飯無料公開の反響をエゴサーチしてみたところ「気にはなっていたけど読むタイミングがなかった」という層に対して、期間限定というフックをつけたことで読むモチベーションを与えられたんだと思います。そしてブログ飯の無料版を読んでくれた中の一部の共感層が、手元に置いておきたいと感じて冊子やKindle版を購入してくれたのでしょう。
とはいえ、無料公開して全部が全部良かったかというとそうではなくて、無料にすることのデメリットもあります。無料で配ると、届けてはいけない層まで読者になる可能性が高まるんです。まぁ、無料公開やる時点でネガティブな反響も織り込み済みだったのでそんなに心は削られていないんですけど(´Д⊂ヽ。
私の場合、PRになるような第三者の投稿は積極的に拡散しますが、そうでない投稿はスルーします。公平じゃないと思われるかもしれませんが、わざわざネガティブな投稿を拡散するメリットがありませんからね。
このあたりは著者によって考え方が違うかもしれませんが、「売る」という営業活動にフォーカスするのであればポジティブな共感者を増やす・情報を拡散する方が効率的です。
そんなわけで総論成功、一部凹む的な結果となりました。書籍に限らず、なにかを無料公開する計画がある場合は参考にしてください。
デビュー作は超えられない
一冊目は本当に重要です。デビュー作のインパクトは超えられないんですよ、特に熱量の部分で。
私の単著デビュー作はブログ飯なんですが、いまだにブログ飯の人って言われることが多いです。あれ、2013年の本で、すでに9年も経過してるんですよ。以降、43作も出版しているにもかかわらずです。
ブログ名以降に出した書籍の方が、構成や文体や内容に関しても著者としてのレベルが上がっているはずなんです。部数も他の本の方が多いです。でも、熱量がこもってるのはブログ飯で、だからこそ読者の印象も強く残っているんだと思います。ですから、今の私の目標は「ブログ飯の人」って言われなくなる本を書きたいです。
投稿者プロフィール
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ブログメディアの運営とともに、コミュニティ(オンラインサロン)運営、書籍の執筆・プロデュース、YouTube活用サポート、企業や地方自治体のIT(集客・PR)アドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組むパラレルワーカー。
現在は複業(副業・兼業)の重要性を伝えるため、新聞や雑誌、ウェブメディアの連載や取材の傍ら、テレビやラジオなどのマスメディアへの働きかけをおこなっている。
著書・監修書に『副業力』(日本実業出版社)、『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』(インプレス)、『ブログの教科書』(ソーテック社)、『成功するネットショップ集客と運営の教科書』(SBクリエイティブ)、『クリエイターのための権利の本』(ボーンデジタル)、『複業のトリセツ』(DMM PUBLISHING)など45作(2022年5月現在)。
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